妊娠を契機に増大したと推測される長径16cm胸壁デスモイド腫瘍の1例

症例は29歳,女性.妊娠中に呼吸困難と左胸痛のため入院した.母体を優先して人工妊娠中絶を行った.CT検査およびMRI検査で左前胸壁に心臓を圧排する15×8×16cm大の腫瘍を認めた.超音波ガイド下針生検でデスモイド腫瘍と診断され,手術を施行した.左第7から第10肋骨を含む胸壁を心膜と横隔膜も含めて切除し,広範囲胸壁欠損に対してmeshを用いて再建した.術後創感染をきたしたので,meshを除去し遊離大腿筋膜張筋皮弁を用いて再建した.術後6年経過して再発を認めていない. 妊娠中のデスモイド腫瘍の治療については一定の見解がなく,今後の症例の集積が必要である....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 3; pp. 545 - 551
Main Authors 帖佐, 英一, 綾部, 貴典, 森, 浩貴, 富田, 雅樹, 中村, 都英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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Summary:症例は29歳,女性.妊娠中に呼吸困難と左胸痛のため入院した.母体を優先して人工妊娠中絶を行った.CT検査およびMRI検査で左前胸壁に心臓を圧排する15×8×16cm大の腫瘍を認めた.超音波ガイド下針生検でデスモイド腫瘍と診断され,手術を施行した.左第7から第10肋骨を含む胸壁を心膜と横隔膜も含めて切除し,広範囲胸壁欠損に対してmeshを用いて再建した.術後創感染をきたしたので,meshを除去し遊離大腿筋膜張筋皮弁を用いて再建した.術後6年経過して再発を認めていない. 妊娠中のデスモイド腫瘍の治療については一定の見解がなく,今後の症例の集積が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.545