鈍的外傷による腸間膜損傷で遅発性出血性ショックをきたした1例

42歳男性。知人と口論し,暴行され受傷。その後,帰宅していた。翌日仕事中に腹痛,嘔吐が出現し近医を受診。CT検査で腹腔内出血を指摘され,受傷18時間後に当院救急搬送。来院時,橈骨動脈血圧測定不能,心拍数97回/分,GCS E3V4M6,体温35.7℃。前医単純CT検査所見:十二指腸外側,横行結腸間膜内に大量の血腫と腹腔内出血を認めた。外傷性腹腔内出血の診断で到着1時間半後,緊急開腹を施行。腹腔内に新鮮出血を認め,小網を開放し大動脈を圧迫遮断。横行結腸間膜に10×15cmの損傷,中結腸動静脈より活動性出血を認め,止血を行った。他臓器損傷は認めず,外傷性横行結腸間膜損傷(type Ⅱb),中結腸動...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 997 - 1000
Main Authors 爲廣, 一仁, 緒方, 俊郎, 安士, 健一, 谷口, 雅彦, 衣笠, 由祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.997

Cover

More Information
Summary:42歳男性。知人と口論し,暴行され受傷。その後,帰宅していた。翌日仕事中に腹痛,嘔吐が出現し近医を受診。CT検査で腹腔内出血を指摘され,受傷18時間後に当院救急搬送。来院時,橈骨動脈血圧測定不能,心拍数97回/分,GCS E3V4M6,体温35.7℃。前医単純CT検査所見:十二指腸外側,横行結腸間膜内に大量の血腫と腹腔内出血を認めた。外傷性腹腔内出血の診断で到着1時間半後,緊急開腹を施行。腹腔内に新鮮出血を認め,小網を開放し大動脈を圧迫遮断。横行結腸間膜に10×15cmの損傷,中結腸動静脈より活動性出血を認め,止血を行った。他臓器損傷は認めず,外傷性横行結腸間膜損傷(type Ⅱb),中結腸動静脈損傷と診断した。術後経過良好で術後12日目に自宅退院となった。受傷後3ヵ月,後遺症なく社会復帰している。今回,遅発性ショックをきたした鈍的腹部外傷による中結腸動静脈損傷の1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.997