タペンタドールと腰神経叢ブロックにより除痛が得られた悪性腸腰筋症候群の1例
【緒言】悪性腸腰筋症候群(以下,MPS)は,悪性腫瘍によって腰神経叢が障害されて生じる腰下肢の痛み,知覚障害,脱力によって特徴づけられ,典型的な神経障害性疼痛を伴い,痛みの緩和に難渋する場合も少なくない.【症例】患者は67歳の女性.左側傍腰椎の悪性リンパ腫により左MPSを生じた.オキシコドンからタペンタドールへのオピオイドスイッチと鎮痛補助薬による薬物療法と腰神経叢ブロックを行って良好な除痛効果を得た.【考察】MPSによる痛みは強く,患者のQOLを著しく低下させるため,迅速な診断と適切な症状マネジメントが求められるがん関連症候群の1つである.タペンタドールはオピオイド受容体への作用と中枢神経系...
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Published in | Palliative Care Research Vol. 10; no. 1; pp. 510 - 514 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本緩和医療学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 1880-5302 |
DOI | 10.2512/jspm.10.510 |
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Summary: | 【緒言】悪性腸腰筋症候群(以下,MPS)は,悪性腫瘍によって腰神経叢が障害されて生じる腰下肢の痛み,知覚障害,脱力によって特徴づけられ,典型的な神経障害性疼痛を伴い,痛みの緩和に難渋する場合も少なくない.【症例】患者は67歳の女性.左側傍腰椎の悪性リンパ腫により左MPSを生じた.オキシコドンからタペンタドールへのオピオイドスイッチと鎮痛補助薬による薬物療法と腰神経叢ブロックを行って良好な除痛効果を得た.【考察】MPSによる痛みは強く,患者のQOLを著しく低下させるため,迅速な診断と適切な症状マネジメントが求められるがん関連症候群の1つである.タペンタドールはオピオイド受容体への作用と中枢神経系内でのノルアドレナリン再取込阻害作用を有し,神経障害性疼痛への有用性が報告されている.【結論】タペンタドール投与と腰神経叢ブロックの併用により,MPSに伴う腰下肢痛が良好にコントロールできた. |
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ISSN: | 1880-5302 |
DOI: | 10.2512/jspm.10.510 |