Ileosigmoid knotの1例

症例は72歳,女性.50年前に膵炎手術および虫垂切除の既往があり,腹痛・嘔吐で来院した.下腹部に強い圧痛を認め,CT検査では拡張した小腸を認めるものの,明らかなループ形成は認めなかった.腸閉塞の診断でイレウス管を挿入するも施行後のCTで急激な腹水の増加が認められた.腹部所見も強く絞扼性イレウスを疑い緊急手術の方針となった.術中所見では回腸約300cmとS状結腸が巻絡し結節を形成しており,両腸管とも壊死所見を呈していた.壊死腸管切除を施行し,術後経過は良好であった.レトロスペクティブにCT所見を見返すと拡張した小腸とS状結腸が左右に正対する所見を認められた.また回盲部が正中に偏移する所見も認めら...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 873 - 878
Main Authors 上田, 吉宏, 円城寺, 恩, 大野, 玲, 小林, 建太, 石丸, 神矢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.873

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Summary:症例は72歳,女性.50年前に膵炎手術および虫垂切除の既往があり,腹痛・嘔吐で来院した.下腹部に強い圧痛を認め,CT検査では拡張した小腸を認めるものの,明らかなループ形成は認めなかった.腸閉塞の診断でイレウス管を挿入するも施行後のCTで急激な腹水の増加が認められた.腹部所見も強く絞扼性イレウスを疑い緊急手術の方針となった.術中所見では回腸約300cmとS状結腸が巻絡し結節を形成しており,両腸管とも壊死所見を呈していた.壊死腸管切除を施行し,術後経過は良好であった.レトロスペクティブにCT所見を見返すと拡張した小腸とS状結腸が左右に正対する所見を認められた.また回盲部が正中に偏移する所見も認められ,腸管結節形成症の可能性も示唆できる所見であった.以上のようなCT所見を認める場合は小腸大量切除,さらには結腸切除も念頭に入れ手術に臨む必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.873