同時性7多発胃癌の1例

症例は71歳,男性.検診の上部消化管造影検査を施行し異常を指摘され,当科紹介受診した.精査したところ,上部消化管造影検査では3胃癌病変を指摘された.上部消化管内視鏡検査では他に1病変を指摘され,計4病変を指摘された.CT所見では小彎リンパ節腫大を認めた.術前診断では同時性4病変多発胃癌と診断し,胃全摘術D2郭清を行った.摘出標本の肉眼所見では他に2病変を認め,6病変が観察できた.さらに,全割所見では新たに1病変を認めた.結果的に同時性7病変多発胃癌であった.組織学的には高分化から低分化,印環細胞癌まで含む多彩な組織型を呈していた.術後経過観察では再発所見なく経過している.胃癌の診断技術の向上に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 693 - 698
Main Authors 永井, 健太郎, 山本, 雅由, 森田, 洋平, 山田, 圭一, 奥田, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.693

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Summary:症例は71歳,男性.検診の上部消化管造影検査を施行し異常を指摘され,当科紹介受診した.精査したところ,上部消化管造影検査では3胃癌病変を指摘された.上部消化管内視鏡検査では他に1病変を指摘され,計4病変を指摘された.CT所見では小彎リンパ節腫大を認めた.術前診断では同時性4病変多発胃癌と診断し,胃全摘術D2郭清を行った.摘出標本の肉眼所見では他に2病変を認め,6病変が観察できた.さらに,全割所見では新たに1病変を認めた.結果的に同時性7病変多発胃癌であった.組織学的には高分化から低分化,印環細胞癌まで含む多彩な組織型を呈していた.術後経過観察では再発所見なく経過している.胃癌の診断技術の向上にもかかわらず,多発胃癌の術前正診率は低いと言われている.本症例も検査を進めていくにつれ病巣数の増加を認めた.比較的稀な病巣数の多い多発胃癌を経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.693