下回盲窩型盲腸周囲ヘルニアの1例

症例は70歳,女性.腹痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診.腹部骨盤造影CTにて盲腸が腹側に偏位し,盲腸の外側に造影効果のあるclosed loop様の小腸と,背側に小腸の腸間膜を認め盲腸周囲ヘルニアと診断した.開腹手術所見では回腸が17cm嵌頓していたが虚血はなく,虫垂間膜と回盲ヒダがヘルニア門を形成していた.ヘルニア嚢を開放し虫垂も切除した.盲腸周囲には上回盲窩・下回盲窩・盲腸後窩・虫垂後窩の4つの陥凹があり,この陥凹に腸管が嵌入して生じる内ヘルニアが盲腸周囲ヘルニアである.Meyerらはヘルニア門と盲腸の位置関係により,内側・外側・盲腸後窩・分類不能の4分類を提唱した.内側型には上回盲窩型・下...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 778 - 782
Main Authors 岩城, 孝和, 植木, 匡, 石塚, 大, 多々, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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Summary:症例は70歳,女性.腹痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診.腹部骨盤造影CTにて盲腸が腹側に偏位し,盲腸の外側に造影効果のあるclosed loop様の小腸と,背側に小腸の腸間膜を認め盲腸周囲ヘルニアと診断した.開腹手術所見では回腸が17cm嵌頓していたが虚血はなく,虫垂間膜と回盲ヒダがヘルニア門を形成していた.ヘルニア嚢を開放し虫垂も切除した.盲腸周囲には上回盲窩・下回盲窩・盲腸後窩・虫垂後窩の4つの陥凹があり,この陥凹に腸管が嵌入して生じる内ヘルニアが盲腸周囲ヘルニアである.Meyerらはヘルニア門と盲腸の位置関係により,内側・外側・盲腸後窩・分類不能の4分類を提唱した.内側型には上回盲窩型・下回盲窩型・虫垂後窩型が含まれるが,本邦では内側型を型別に分けて報告する場合が多い.本邦報告例の検討では盲腸後窩への嵌頓例が多く,下回盲窩は,われわれの検索した範囲内では5例で自験例を含めても6例であることから,自験例の経験を報告し考察を加えた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.778