バイパス術が有効であった坐骨動脈狭窄遺残併存血栓閉塞症の1例

症例は66歳,女性.100mの歩行時に右下腿痛を自覚し,2週間後に前医を受診した.下肢動脈造影検査にて両側遺残坐骨動脈と右側の血栓閉塞を認めた.下肢超音波検査にて新鮮血栓を認めたため,血栓除去術の適応と判断され当科へ転院となった.右膝上膝窩動脈を露出し,大腿および下腿の血栓除去術を施行した.大腿骨頸部レベルで遺残坐骨動脈の狭窄を認め,同部位より中枢側の血栓除去は困難であった.経皮的バルーン血管形成術を併施し終了した.術後7日目の造影CTにて狭窄部位からの再閉塞を認めたため,右総大腿-膝上膝窩動脈バイパス術を施行した.術後症状は消失し,バイパス術後13日目に独歩退院となった.遺残坐骨動脈の狭窄を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 3; pp. 592 - 596
Main Authors 藤井, 弘通, 柴田, 利彦, 野田, 和樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.592

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Summary:症例は66歳,女性.100mの歩行時に右下腿痛を自覚し,2週間後に前医を受診した.下肢動脈造影検査にて両側遺残坐骨動脈と右側の血栓閉塞を認めた.下肢超音波検査にて新鮮血栓を認めたため,血栓除去術の適応と判断され当科へ転院となった.右膝上膝窩動脈を露出し,大腿および下腿の血栓除去術を施行した.大腿骨頸部レベルで遺残坐骨動脈の狭窄を認め,同部位より中枢側の血栓除去は困難であった.経皮的バルーン血管形成術を併施し終了した.術後7日目の造影CTにて狭窄部位からの再閉塞を認めたため,右総大腿-膝上膝窩動脈バイパス術を施行した.術後症状は消失し,バイパス術後13日目に独歩退院となった.遺残坐骨動脈の狭窄を伴った血栓閉塞症に対して下肢バイパス術が奏効したが,このような症例ではバイパス術を施行すべきであると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.592