食道がん術後患者8症例における塩酸ピルジカイニド静脈内投与時の薬物動態に関する検討

食道がん術後に上室性不整脈が出現した8症例を対象に,塩酸ピルジカイニド0.75 mg/kgを10分間で静脈内投与した。投与直前~投与開始後8時間に血漿中濃度測定を行い,2-compartment modelを用いて薬物動態学的変化を検討した。食道がん術後患者の最高血中濃度は2.07±0.59μg/mlであり,これは健常人より有意に高い値であった。またα相半減期の著明な延長と,定常状態分布容積および末梢コンパートメント容積の有意な減少が認められた。以上より,食道がん術後患者では塩酸ピルジカイニドの薬物動態が大きく変化しており,通常用量の単回静脈内投与で抗不整脈作用のための至適血中濃度を超えること...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 80 - 82
Main Authors 内藤, 嘉之, 多田羅, 康章, 奥谷, 龍
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.01.2013
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.20.80

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Summary:食道がん術後に上室性不整脈が出現した8症例を対象に,塩酸ピルジカイニド0.75 mg/kgを10分間で静脈内投与した。投与直前~投与開始後8時間に血漿中濃度測定を行い,2-compartment modelを用いて薬物動態学的変化を検討した。食道がん術後患者の最高血中濃度は2.07±0.59μg/mlであり,これは健常人より有意に高い値であった。またα相半減期の著明な延長と,定常状態分布容積および末梢コンパートメント容積の有意な減少が認められた。以上より,食道がん術後患者では塩酸ピルジカイニドの薬物動態が大きく変化しており,通常用量の単回静脈内投与で抗不整脈作用のための至適血中濃度を超えることが明らかとなった。また,効果が認められない場合の安易な追加投与は,刺激伝導障害や心室性不整脈などを誘発することが予想されるため,避けるべきと考える。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.20.80