腹腔鏡下鼠径ヘルニアTAPP修復術後に発症したメッシュ関連膿瘍の2例

症例1は75歳,男性.両側鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行し,術後1年10カ月目に右鼠径部の疼痛と発熱を主訴に来院.CTで右鼠径部に膿瘍を認め,メッシュ関連膿瘍と診断しメッシュ除去とドレナージ術を施行した.術中にタッカーが2個遺残したことが原因と思われる難治性の術後遺残膿瘍が生じたが,抗菌療法により約2カ月で保存的に改善した.症例2は幼少期に右鼠径ヘルニアの手術歴がある55歳の男性で,右鼠径部痛を主訴に来院.CTで鼠径ヘルニアの再発と小腸の嵌頓を認めた.嵌頓腸管の血流は問題なくその場で整復し,後日腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行した.術後2カ月目に発熱を主訴に来院し,CTで...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 1; pp. 106 - 114
Main Authors 小林, 智輝, 水野, 伸一, 杉田, 静紀, 河南, 晴久, 丸山, 修平, 玉内, 登志雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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Summary:症例1は75歳,男性.両側鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行し,術後1年10カ月目に右鼠径部の疼痛と発熱を主訴に来院.CTで右鼠径部に膿瘍を認め,メッシュ関連膿瘍と診断しメッシュ除去とドレナージ術を施行した.術中にタッカーが2個遺残したことが原因と思われる難治性の術後遺残膿瘍が生じたが,抗菌療法により約2カ月で保存的に改善した.症例2は幼少期に右鼠径ヘルニアの手術歴がある55歳の男性で,右鼠径部痛を主訴に来院.CTで鼠径ヘルニアの再発と小腸の嵌頓を認めた.嵌頓腸管の血流は問題なくその場で整復し,後日腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行した.術後2カ月目に発熱を主訴に来院し,CTで右鼠径部に膿瘍を認めメッシュ関連膿瘍と診断しタッカーを含めたメッシュ除去とドレナージ術を施行した.ヘルニア術後のメッシュ感染を認めた場合には難治性となることが多く,人工物を遺残なく摘出する必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.106