腹腔鏡下にて修復した嵌頓大腿ヘルニアの1例

患者は86歳の女性で,嘔吐と腹痛を認め当科受診。左鼠径部に圧痛を伴う膨隆を認めた。腹部CT検査で左大腿ヘルニアの嵌頓,ヘルニア内容は小腸および大網と考えられ,腹腔鏡下にて緊急ヘルニア修復術を施行した。腹腔内を観察すると,大腿輪に小腸と大網が嵌頓しており,鉗子での牽引および体外からの用手的圧迫を併用することで嵌頓を解除した。ヘルニア解除後も嵌頓小腸の色調は悪く,嵌頓小腸の切除が必要と考えられた。感染の可能性が危惧されたため,メッシュを使用せず,iliopubic tractとCooper靭帯を腹腔鏡下にて縫縮しヘルニアの修復を行い,嵌頓小腸は腹腔鏡補助下にて小腸部分切除を行った。術後は問題なく経...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 5; pp. 973 - 976
Main Authors 鈴村, 和大, 岡田, 敏弘, 裵, 正寛, 矢田, 章人, 黒田, 暢一, 飯室, 勇二, 平野, 公通, 藤元, 治朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
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Summary:患者は86歳の女性で,嘔吐と腹痛を認め当科受診。左鼠径部に圧痛を伴う膨隆を認めた。腹部CT検査で左大腿ヘルニアの嵌頓,ヘルニア内容は小腸および大網と考えられ,腹腔鏡下にて緊急ヘルニア修復術を施行した。腹腔内を観察すると,大腿輪に小腸と大網が嵌頓しており,鉗子での牽引および体外からの用手的圧迫を併用することで嵌頓を解除した。ヘルニア解除後も嵌頓小腸の色調は悪く,嵌頓小腸の切除が必要と考えられた。感染の可能性が危惧されたため,メッシュを使用せず,iliopubic tractとCooper靭帯を腹腔鏡下にて縫縮しヘルニアの修復を行い,嵌頓小腸は腹腔鏡補助下にて小腸部分切除を行った。術後は問題なく経過し,術後第14病日に退院となった。嵌頓ヘルニア症例に対しての腹腔鏡下手術は低侵襲であり有用な術式と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.973