腹部大動脈瘤による十二指腸狭窄の1例

症例は84歳,男性.来院3カ月ほど前から徐々に食欲低下,10kg程度の体重減少を認め,来院日前日より頻回の嘔吐が出現したため受診した.上腹部に大動脈の拍動を触知し,腹部単純CTでは腎動脈下で最大径64mmの腹部大動脈瘤(AAA)を認め,同部位で十二指腸水平脚が圧迫されており,その口側の胃・十二指腸下行脚の著明な拡張を認めた.AAAによる十二指腸狭窄と考え,精査加療目的で入院となった.入院後施行した上部消化管造影では,十二指腸下行脚から水平脚にかけ造影剤の通過が悪く,AAAにより同部位が圧迫され狭窄していると考えられた.AAAによる圧迫を解除しないと経口摂取ができないと考え,入院17日目に腹部大...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 3; pp. 484 - 487
Main Authors 小池, 佳勇, 寺西, 克仁, 水谷, 哲之, 橋本, 瑞生, 佐藤, 文哉, 坂口, 憲史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は84歳,男性.来院3カ月ほど前から徐々に食欲低下,10kg程度の体重減少を認め,来院日前日より頻回の嘔吐が出現したため受診した.上腹部に大動脈の拍動を触知し,腹部単純CTでは腎動脈下で最大径64mmの腹部大動脈瘤(AAA)を認め,同部位で十二指腸水平脚が圧迫されており,その口側の胃・十二指腸下行脚の著明な拡張を認めた.AAAによる十二指腸狭窄と考え,精査加療目的で入院となった.入院後施行した上部消化管造影では,十二指腸下行脚から水平脚にかけ造影剤の通過が悪く,AAAにより同部位が圧迫され狭窄していると考えられた.AAAによる圧迫を解除しないと経口摂取ができないと考え,入院17日目に腹部大動脈人工血管置換術を施行した.術後経過は良好で,術後21日目に軽快退院となった.AAAによる十二指腸閉塞は報告が少なく,稀な病態であると考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.484