横隔膜交通症に対する手術治療―当科経験例7例と本邦報告例32例の検討

横隔膜交通症は腹膜透析や肝硬変など腹水が貯留する病態に合併するまれな疾患である.症例報告は散見されるが,標準的治療は未だ定まっていない.当科で2018年から2022年の間に経験した7例の横隔膜交通症に対する手術について検討した.男性6例,女性1例,平均年齢は56.4歳であった.原因疾患は慢性腎不全による腹膜透析2例,肝硬変による肝性胸水5例で,全例が右側病変だった.術中横隔膜交通部同定はインジゴカルミンによる色素法またはCO2による気腹法で行い,同定率は57.1%であった.治療は交通部が同定できた症例では交通部の切除または縫縮を行いポリグリコール酸シートとフィブリン糊で補強,同定できなかった症...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 1; pp. 2 - 8
Main Authors 山本, 和幸, 真名瀬, 博人, 市村, 龍之助, 出口, 琢人, 青木, 佑磨, 幾島, 拓也, 桒原, 尚太, 西上, 耕平, 福永, 亮朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.2

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Summary:横隔膜交通症は腹膜透析や肝硬変など腹水が貯留する病態に合併するまれな疾患である.症例報告は散見されるが,標準的治療は未だ定まっていない.当科で2018年から2022年の間に経験した7例の横隔膜交通症に対する手術について検討した.男性6例,女性1例,平均年齢は56.4歳であった.原因疾患は慢性腎不全による腹膜透析2例,肝硬変による肝性胸水5例で,全例が右側病変だった.術中横隔膜交通部同定はインジゴカルミンによる色素法またはCO2による気腹法で行い,同定率は57.1%であった.治療は交通部が同定できた症例では交通部の切除または縫縮を行いポリグリコール酸シートとフィブリン糊で補強,同定できなかった症例では同材料で横隔膜全体を被覆した.全例で再発を認めなかった.文献的考察も加え,標準的手術治療について考察する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.2