医原性右鎖骨下動脈損傷に対してpull-through法を用いて血管内治療を行った1例

症例は52歳男性.呼吸苦および全身倦怠感を自覚し前医を受診した.精査の結果,尿毒症と診断され緊急透析のために右内頸静脈より12 Frのバスキュラーアクセスカテーテル(VAカテーテル)が留置された.胸部X線検査でVAカテーテルの走行異常に気付かれ,造影CT (computed tomography) 検査が施行された.VAカテーテルが右内頸静脈を貫通後に右鎖骨下動脈を穿通し,上行大動脈内まで達していたため当院へ搬送された.全身麻酔下に両側上腕動脈の間でpull-through法を用いてGORE VIABAHNを挿入し,右鎖骨下動脈損傷を治療した.術後造影CT検査で出血がないことを確認し,術後第2...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 52; no. 5; p. 349
Main Authors 岩﨑, あや香, 中村, 栄作, 馬場, 啓徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.09.2023
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.52.349

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Summary:症例は52歳男性.呼吸苦および全身倦怠感を自覚し前医を受診した.精査の結果,尿毒症と診断され緊急透析のために右内頸静脈より12 Frのバスキュラーアクセスカテーテル(VAカテーテル)が留置された.胸部X線検査でVAカテーテルの走行異常に気付かれ,造影CT (computed tomography) 検査が施行された.VAカテーテルが右内頸静脈を貫通後に右鎖骨下動脈を穿通し,上行大動脈内まで達していたため当院へ搬送された.全身麻酔下に両側上腕動脈の間でpull-through法を用いてGORE VIABAHNを挿入し,右鎖骨下動脈損傷を治療した.術後造影CT検査で出血がないことを確認し,術後第2病日に紹介元病院へ転院した.今回われわれは,医原性右鎖骨下動脈損傷に対してpull-through法を用いて血管内治療を行った1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.52.349