幼児期に8K超高解像度胸腔鏡補助下に肺葉切除を行った肺内型気管支原性囊胞の1例

肺内型気管支原性囊胞は先天性囊胞性肺疾患の一型であり,幼児期の胸腔鏡下手術が推奨されているが,実際に経験することは稀である.今回,我々は,出生前診断された後縦隔囊胞性病変に対して,1歳5ヵ月時に外科的介入を行った.8K胸腔鏡を用いて小児外科・呼吸器外科合同で手術を施行し,右下葉S8から隆起する囊胞性病変を認めたことから,肺内型気管支原性囊胞と診断した.下肺静脈との癒着のため最終的にはS8区域切除でなく右下葉切除を要したが,高精細映像を70インチの大画面で共有することにより,肺動脈・気管支の剥離を各区域支レベルで安全に進めることができ,胸腔鏡補助下手術を完遂し得た.8K胸腔鏡により得られる拡大視...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 6; pp. 706 - 710
Main Authors 深見, 朋世, 小島, 史嗣, 廣田, 晋也, 矢田, 圭吾, 板東, 徹, 松藤, 凡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2022
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Summary:肺内型気管支原性囊胞は先天性囊胞性肺疾患の一型であり,幼児期の胸腔鏡下手術が推奨されているが,実際に経験することは稀である.今回,我々は,出生前診断された後縦隔囊胞性病変に対して,1歳5ヵ月時に外科的介入を行った.8K胸腔鏡を用いて小児外科・呼吸器外科合同で手術を施行し,右下葉S8から隆起する囊胞性病変を認めたことから,肺内型気管支原性囊胞と診断した.下肺静脈との癒着のため最終的にはS8区域切除でなく右下葉切除を要したが,高精細映像を70インチの大画面で共有することにより,肺動脈・気管支の剥離を各区域支レベルで安全に進めることができ,胸腔鏡補助下手術を完遂し得た.8K胸腔鏡により得られる拡大視効果やズームアップ機能は,狭い小児の胸腔で作業空間を確保し,精度の高い低侵襲手術を行う上で非常に有用であると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.706