自然破裂により腹腔内出血をきたした小腸間膜原発GISTの1例

症例は85歳,男性.C型肝硬変で加療中のところ,約3年前に3cm大の腹腔内腫瘤を指摘された.高齢のため経過観察としていたが,2015年11月,急な腹痛と進行性の貧血がみられたため入院となった.腹部CTで腫瘍が8cmまで増大し腹水も認めたため,腫瘍破裂による腹腔内出血を疑って緊急手術を施行した.可動性に乏しい弾性軟の腫瘍は上部空腸近傍の腸間膜に被覆されており,自然破裂部から湧出性の出血がみられた.腫瘍は空腸を含めた周囲臓器との連続性を認めず,腫瘍切除のみで手術を終えた.腫瘍は,組織学的に紡錘形細胞の束状増殖から成り,免疫組織化学的にKIT・CD34・DOG1陽性であることから,手術所見も踏まえ,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 8; pp. 1725 - 1729
Main Authors 松熊, 晋, 猛尾, 弘照, 上藤, 和彦, 緒方, 奈々恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1725

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Summary:症例は85歳,男性.C型肝硬変で加療中のところ,約3年前に3cm大の腹腔内腫瘤を指摘された.高齢のため経過観察としていたが,2015年11月,急な腹痛と進行性の貧血がみられたため入院となった.腹部CTで腫瘍が8cmまで増大し腹水も認めたため,腫瘍破裂による腹腔内出血を疑って緊急手術を施行した.可動性に乏しい弾性軟の腫瘍は上部空腸近傍の腸間膜に被覆されており,自然破裂部から湧出性の出血がみられた.腫瘍は空腸を含めた周囲臓器との連続性を認めず,腫瘍切除のみで手術を終えた.腫瘍は,組織学的に紡錘形細胞の束状増殖から成り,免疫組織化学的にKIT・CD34・DOG1陽性であることから,手術所見も踏まえ,腸管以外の小腸間膜に発生したgastrointestinal stromal tumor(extragastrointestinal stomal tumor)と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1725