肝転移再発時にサルコイドーシスを発症した直腸癌の1例

症例は68歳,男性.直腸癌に対して腹腔鏡補助下前方切除術を施行し,pT3N0M0 pStage IIであった.術後6カ月目のCT検査で,頸部,縦隔および肝門部リンパ節腫脹と肝S6に3cm大の結節を認めた.直腸癌術後多発転移を疑い,FDG/PET検査を施行したところ,腫大リンパ節と肝腫瘤にSUVmax=3.9~9.5の異常集積を認めた.直腸癌多発転移の可能性がある一方,他の悪性腫瘍やサルコイドーシス等の疾患も考えられた.頸部および縦隔リンパ節生検を施行し,非乾酪性肉芽腫の結果を得た.肝腫瘍および肝門部リンパ節腫大に対して肝S6亜区域切除術および肝門部リンパ節生検を施行し,肝腫瘍は直腸癌の肝転移,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 6; pp. 1281 - 1287
Main Authors 畑中, 信良, 大澤, 日出樹, 宋, 智亨, 寺西, 立冴, 山崎, 芳郎, 酒井, 健司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1281

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Summary:症例は68歳,男性.直腸癌に対して腹腔鏡補助下前方切除術を施行し,pT3N0M0 pStage IIであった.術後6カ月目のCT検査で,頸部,縦隔および肝門部リンパ節腫脹と肝S6に3cm大の結節を認めた.直腸癌術後多発転移を疑い,FDG/PET検査を施行したところ,腫大リンパ節と肝腫瘤にSUVmax=3.9~9.5の異常集積を認めた.直腸癌多発転移の可能性がある一方,他の悪性腫瘍やサルコイドーシス等の疾患も考えられた.頸部および縦隔リンパ節生検を施行し,非乾酪性肉芽腫の結果を得た.肝腫瘍および肝門部リンパ節腫大に対して肝S6亜区域切除術および肝門部リンパ節生検を施行し,肝腫瘍は直腸癌の肝転移,肝門部リンパ節は非乾酪性肉芽腫であった.術後19カ月間,無再発で健在である.直腸癌肝転移とサルコイドーシスが混在する症例は比較的稀であり,結果的にR0切除可能であった1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1281