関節洗浄マニピュレーション前後における下顎運動解析

開口障害を有する非復位性関節円板前方転位症例12名に対し, 関節洗浄マニピュレーションを施行し, 治療前後における6自由度下顎運動解析装置による顆頭運動解析を行った。その結果, 習慣性開閉口運動における最大開口量, 最大顆頭移動量, 側方滑走運動における切歯移動量, 非作業側顆頭移動量, 前方滑走運動における切歯移動量において処置前後の間で危険率1%未満で有意差が認められた (p<0.01, paired t-test)。臨床上診断し難い顆頭運動範囲の増加が確認できたことにより, 関節洗浄マニピュレーションの有効性を定量的に評価することができた。また, 本研究の被験者は初診時には片側のみ...

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Published inJournal of the Japanese Society for the Temporomandibular Joint Vol. 12; no. 3; pp. 361 - 367
Main Authors 鈴木, 卓哉, 藤澤, 政紀, 青村, 知幸, 石橋, 寛二, 金村, 清孝, 長尾, 亜希子, 工藤, 啓吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2000
The Japanese Society for Temporomandibular Joint
Subjects
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.12.361

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Summary:開口障害を有する非復位性関節円板前方転位症例12名に対し, 関節洗浄マニピュレーションを施行し, 治療前後における6自由度下顎運動解析装置による顆頭運動解析を行った。その結果, 習慣性開閉口運動における最大開口量, 最大顆頭移動量, 側方滑走運動における切歯移動量, 非作業側顆頭移動量, 前方滑走運動における切歯移動量において処置前後の間で危険率1%未満で有意差が認められた (p<0.01, paired t-test)。臨床上診断し難い顆頭運動範囲の増加が確認できたことにより, 関節洗浄マニピュレーションの有効性を定量的に評価することができた。また, 本研究の被験者は初診時には片側のみに症状があるかあるいは片側のみの非復位性前方転位であったにも関わらず, 無症状であった反対側の顆頭運動範囲も症状側とほぼ同じ運動量にとどまっていた。しかし, 症状側に関節洗浄マニピュレーションを施行し, 顆頭の運動範囲が増加したことにより, 処置を施していない無症状側の顆頭も症状側の改善につれて運動範囲が拡大した。このことは9複合関節としての顎関節の機能的な運動機序を明らかにする一助となるものと思われる。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.12.361