縦隔膿瘍の既往がある大動脈弁閉鎖不全症に対して右小開胸 MICS-AVR を施行した1例

症例は67歳女性,15年前に骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes : MDS), Tolosa-Hunt症候群にてステロイド内服中に縦隔膿瘍を発症し左開胸ドレナージを施行した.術後創部は潰瘍形成し壊死性膿皮症と診断された.ヨウ化カリウム投与とステロイドパルスを施行し約3カ月後,瘢痕を残し上皮化した.2年前より心不全症状を認め,重症大動脈弁閉鎖不全症と診断された.手術適応と考えられたが,感染,皮膚症状を含めた合併症のリスクが高いと判断し経過観察されていた.しかし心不全症状が悪化し右小開胸によるMICS-AVRを施行した.術後経過は良好で術当日抜管し,合併症なく術後...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 50; no. 6; pp. 383 - 386
Main Authors 杉本, 貴樹, 殿城, 秀斗, 高橋, 宏明, 後竹, 康子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.11.2021
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.50.383

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Summary:症例は67歳女性,15年前に骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes : MDS), Tolosa-Hunt症候群にてステロイド内服中に縦隔膿瘍を発症し左開胸ドレナージを施行した.術後創部は潰瘍形成し壊死性膿皮症と診断された.ヨウ化カリウム投与とステロイドパルスを施行し約3カ月後,瘢痕を残し上皮化した.2年前より心不全症状を認め,重症大動脈弁閉鎖不全症と診断された.手術適応と考えられたが,感染,皮膚症状を含めた合併症のリスクが高いと判断し経過観察されていた.しかし心不全症状が悪化し右小開胸によるMICS-AVRを施行した.術後経過は良好で術当日抜管し,合併症なく術後12日目に自宅退院した.縦隔炎,創部合併症のリスクが高い症例に対して右小開胸によるアプローチは有用であると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.50.383