慢性副鼻腔炎の周術期管理の現状―全国の大学病院を対象としたアンケート調査より

目的:本邦では,慢性鼻副鼻腔炎は鼻ポリープの有無,好酸球性炎症の程度,真菌の病態への関与などによって分類される。最近,JESREC studyによって慢性副鼻腔炎のフェノタイプの1つである好酸球性鼻副鼻腔炎の診断基準が定められたが,慢性鼻副鼻腔炎の治療については,各施設が様々工夫して臨んでいると想像される。その実態を把握するため,全国の大学病院を対象にアンケート調査を施行した。対象:アンケートは全国の大学病院(分院も含む)122施設を対象に無記名で行った。手術適応を決める上で重視する事項,および,鼻副鼻腔炎の術後管理を中心に調査を行った。約80%の施設から回答を頂いた。結果:好酸球性炎症を主体...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 57; no. 4; pp. 623 - 630
Main Authors 島村, 歩美, 上條, 篤, 竹野, 幸夫, 石野, 岳志, 増山, 敬祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2018
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.57.623

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Summary:目的:本邦では,慢性鼻副鼻腔炎は鼻ポリープの有無,好酸球性炎症の程度,真菌の病態への関与などによって分類される。最近,JESREC studyによって慢性副鼻腔炎のフェノタイプの1つである好酸球性鼻副鼻腔炎の診断基準が定められたが,慢性鼻副鼻腔炎の治療については,各施設が様々工夫して臨んでいると想像される。その実態を把握するため,全国の大学病院を対象にアンケート調査を施行した。対象:アンケートは全国の大学病院(分院も含む)122施設を対象に無記名で行った。手術適応を決める上で重視する事項,および,鼻副鼻腔炎の術後管理を中心に調査を行った。約80%の施設から回答を頂いた。結果:好酸球性炎症を主体とする好酸球性鼻副鼻腔炎と好酸球性炎症の関与が低い非好酸球性鼻副鼻腔炎は,術後治療法が大きく異なっていた。また,好酸球性鼻副鼻腔炎は施設によって治療法が様々であり,特に経口ステロイド薬の使用法についてばらつきが認められた。結語:慢性鼻副鼻腔炎の適切なマネージメントは非常に重要なテーマである。本調査によって,現時点における各施設間の鼻副鼻腔炎治療方針が一様でないことが明らかとなった。今後,鼻副鼻腔炎のフェノタイプ,エンドタイプの詳細な検討によって,個々の患者の病態に即した適切な治療法が選択されることが期待される。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.57.623