気管支喘息を合併した難病指定好酸球性副鼻腔炎再発例に対する生物学的製剤と経鼻呼出法による治療

重症気管支喘息を合併した難病指定好酸球性副鼻腔炎(ECRS)術後再発例16例に対して吸入ステロイド(ICS)経鼻呼出法を行った後,mepolizumabをICS経鼻呼出に加えて投与し,更にmepolizumabからdupilumabに変更して投与を行った。これらの症例のECRSに対する効果を後方視的に検証した。結果は,ICS経鼻呼出法で3例,mepolizumabの追加で5例において,副鼻腔CTのLund-Mackay Score(LMS)が改善し,残りの8例はdupilumabへの変更によってLMSの改善が初めて認められた。全例で喘息の増悪は見られなかった。Dupilumabの投与を必要とし...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 60; no. 4; pp. 538 - 545
Main Authors 安場, 広高, 荻野, 枝里子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2021
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.60.538

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Summary:重症気管支喘息を合併した難病指定好酸球性副鼻腔炎(ECRS)術後再発例16例に対して吸入ステロイド(ICS)経鼻呼出法を行った後,mepolizumabをICS経鼻呼出に加えて投与し,更にmepolizumabからdupilumabに変更して投与を行った。これらの症例のECRSに対する効果を後方視的に検証した。結果は,ICS経鼻呼出法で3例,mepolizumabの追加で5例において,副鼻腔CTのLund-Mackay Score(LMS)が改善し,残りの8例はdupilumabへの変更によってLMSの改善が初めて認められた。全例で喘息の増悪は見られなかった。Dupilumabの投与を必要とした8例では,それ以外の8例と比較して,治療開始前のLMS,呼気一酸化窒素濃度(FeNO),末梢血好酸球比率,非特異的IgE値に統計学的有意差を認めなかったが,血清TARCの最高値はdupilumab投与群で有意に高値であり,400 pg/ml以上の症例が有意に多かった。喘息を合併したECRSの治療にはdupilumabが有効であるが,好酸球増多疾患がマスクされている可能性も考えると,今回のような順に治療を行っていくことが有用である。また,TARCのようなIL-4/13のマーカーが治療法の選択に役立つかもしれない。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.60.538