ISO 21675に基づくPFAS水質分析におけるサロゲート回収率低下要因の検討及び大阪市内河川調査

日本では2020年に公共用水域におけるPFOS及びPFOAの指針値が定められたが,近年では代替PFASの使用が増加し,その環境影響が懸念される。そこで本研究ではISO 21675に準拠し,水試料中30種PFASの一斉分析体制を構築した。河川水の分析時,一部PFASはサロゲート回収率の低下が見られ,LC-MS/MS分析時のイオンサプレッションが原因と考えられた。超純水及び河川水を用いた添加回収試験では,PFAS回収率は各88~122%及び66~141%であり,各30種及び25種が回収率70~125%の範囲内であることから,分析精度が確認された。大阪市内河川調査では調査した30種中20種PFASが...

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Published in環境化学 Vol. 34; pp. 48 - 60
Main Authors 市原, 真紀子, 浅川, 大地, 東條, 俊樹, 谷保, 佐知, 山下, 信義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境化学会 2024
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Summary:日本では2020年に公共用水域におけるPFOS及びPFOAの指針値が定められたが,近年では代替PFASの使用が増加し,その環境影響が懸念される。そこで本研究ではISO 21675に準拠し,水試料中30種PFASの一斉分析体制を構築した。河川水の分析時,一部PFASはサロゲート回収率の低下が見られ,LC-MS/MS分析時のイオンサプレッションが原因と考えられた。超純水及び河川水を用いた添加回収試験では,PFAS回収率は各88~122%及び66~141%であり,各30種及び25種が回収率70~125%の範囲内であることから,分析精度が確認された。大阪市内河川調査では調査した30種中20種PFASが検出され,ΣPFAS30濃度は 24~11,000 ng L-1 であった。最も高濃度を示した神崎川では,その98%はPFHxAであり,フッ素樹脂メーカー事業場の影響が考えられた。6:2 FTSAは下水処理場放流水の影響を受ける地点から検出され,HFPO-DAは全地点から検出された。調査地域における2007年調査とのPFOS及びPFOA濃度の比較では,平均値で各10分の1及び7分の1に減少していた。
ISSN:0917-2408
1882-5818
DOI:10.5985/jec.34.48