鼻腔への挿管チューブ留置が有効であった先天性梨状口狭窄症例

先天性梨状口狭窄症は鼻腔が著しく狭く鼻閉による呼吸困難を生じる。新生児は鼻呼吸に依存するため,鼻呼吸が障害されると容易に呼吸困難や哺乳不良をきたす。両側鼻腔に挿管チューブを留置することで治療し得た,先天性梨状口狭窄症例を経験した。症例は日齢53女児。他院にて出生直後より鼻閉と哺乳不良があり,体重増加不良が持続した。生後35日に陥没呼吸を認め,終日高流量鼻カニュラ酸素療法での管理が必要になった。鼻副鼻腔CT検査で両側梨状口最小幅が5.0 mmと高度の狭窄を認め,加療目的に生後53日に当院当科に転院した。鼻腔内視鏡検査で両側鼻腔入口部の狭窄を認め,先天性梨状口狭窄症と診断した。両側鼻腔に上咽頭まで...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 61; no. 4; pp. 670 - 675
Main Authors 山崎, 開, 中村, 圭吾, 清水, 猛史, 戸嶋, 一郎, 大江, 祐一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.61.670

Cover

More Information
Summary:先天性梨状口狭窄症は鼻腔が著しく狭く鼻閉による呼吸困難を生じる。新生児は鼻呼吸に依存するため,鼻呼吸が障害されると容易に呼吸困難や哺乳不良をきたす。両側鼻腔に挿管チューブを留置することで治療し得た,先天性梨状口狭窄症例を経験した。症例は日齢53女児。他院にて出生直後より鼻閉と哺乳不良があり,体重増加不良が持続した。生後35日に陥没呼吸を認め,終日高流量鼻カニュラ酸素療法での管理が必要になった。鼻副鼻腔CT検査で両側梨状口最小幅が5.0 mmと高度の狭窄を認め,加療目的に生後53日に当院当科に転院した。鼻腔内視鏡検査で両側鼻腔入口部の狭窄を認め,先天性梨状口狭窄症と診断した。両側鼻腔に上咽頭まで鼻腔管を留置して成長に伴い鼻腔が拡大するのを待つ方針とした。生後59日にコーケン®経鼻エアウェイ(内径3.5 mm,外径5.0 mm)を両側鼻腔に挿入したが,経鼻エアウェイは圧排されて閉塞し鼻呼吸困難となった。そこで,Portex®気管内チューブ(右内径3.0 mm,左内径2.5 mm)に変更したところ呼吸状態は安定した。段階的に鼻腔管を太くしたのち,生後89日に両側鼻腔管を抜去し生後98日に退院した。両側の下鼻甲介と鼻中隔の部分癒着と鼻中隔穿孔を認めたが,生後1歳5カ月現在まで呼吸状態,経口摂取とも良好に経過している。高度の先天性梨状口狭窄症に対しては,両側鼻腔への硬度のある挿管チューブ留置が有効な治療法となりうる。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.61.670