異なる2種類の人工肺で複数回流入部圧上昇をきたした1例

症例は45歳男性.後尖逸脱(P2)を伴う重症僧帽弁逆流症に対し僧帽弁形成術を施行した.胸骨正中切開直後,アナフィラキシーショックに陥り,緊急で体外循環を開始した.人工肺(A社製品)流入部の圧上昇を認めたため,即座に同社製同種の人工肺に交換した.しかし再度,圧上昇を認めたためB社製の人工肺を使用した人工心肺回路に交換した.その後は圧上昇なく体外循環を維持でき,手術を終了した.初回手術55日後に僧帽弁形成術の際のルートベント挿入部に生じた仮性瘤に対して修復術を施行することとなった.麻酔導入後,前回同様アナフィラキシーショックに陥ったが,循環維持可能であった.前回手術で流入部圧上昇を認めなかったB社...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 52; no. 5; pp. 325 - 329
Main Authors 田井, 龍太, 鳥家, 鉄平, 杭ノ瀬, 慶彦, 衣笠, 由祐, 濱田, 雄一郎, 手嶋, 英樹, 廣瀬, 聡一郎, 森河, 内萌, 入江, 博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.09.2023
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.52.325

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Summary:症例は45歳男性.後尖逸脱(P2)を伴う重症僧帽弁逆流症に対し僧帽弁形成術を施行した.胸骨正中切開直後,アナフィラキシーショックに陥り,緊急で体外循環を開始した.人工肺(A社製品)流入部の圧上昇を認めたため,即座に同社製同種の人工肺に交換した.しかし再度,圧上昇を認めたためB社製の人工肺を使用した人工心肺回路に交換した.その後は圧上昇なく体外循環を維持でき,手術を終了した.初回手術55日後に僧帽弁形成術の際のルートベント挿入部に生じた仮性瘤に対して修復術を施行することとなった.麻酔導入後,前回同様アナフィラキシーショックに陥ったが,循環維持可能であった.前回手術で流入部圧上昇を認めなかったB社の人工心肺で体外循環を開始したが,圧上昇を認めたためB社の人工肺に交換した.その後は圧上昇なく体外循環を離脱できた.人工肺流入部圧上昇の原因は不明であった.本症例は異なる2社の人工肺を用いたが,原因不明の人工肺流入部圧上昇を3度も認めた稀な症例であるため,報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.52.325