血性乳頭分泌を伴った腋窩副乳乳管内乳頭腫の1例

症例は41歳,女性.約14年前の授乳中より両側腋窩に副乳があり,その副乳の乳頭(副乳頭)から白色の乳頭分泌を認めていた.授乳終了後は減少していたが,3カ月前より左副乳頭からの乳汁が血性に変化したため,当科紹介となった.超音波検査では副乳頭下に正常乳腺組織を認めたが,明らかな腫瘍性病変はみられなかった.乳頭分泌液細胞診では検体適性・良性と考えられたが,筋上皮細胞の存在が明らかでなく細胞集塊も多く認められ,悪性を完全には否定できなかった.乳頭分泌により衣服に血液が絶えず付着する状況であり,治療・診断目的に左副乳頭と直下の乳腺組織の切除を行った.病理診断は乳管内乳頭腫であった.術後経過は良好で,現在...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 19 - 22
Main Authors 高橋, 宏樹, 藤井, 輝彦, 横山, 吾郎, 中川, 志乃, 井上, 有香, 桃崎, 征也, 赤司, 桃子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.19

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Summary:症例は41歳,女性.約14年前の授乳中より両側腋窩に副乳があり,その副乳の乳頭(副乳頭)から白色の乳頭分泌を認めていた.授乳終了後は減少していたが,3カ月前より左副乳頭からの乳汁が血性に変化したため,当科紹介となった.超音波検査では副乳頭下に正常乳腺組織を認めたが,明らかな腫瘍性病変はみられなかった.乳頭分泌液細胞診では検体適性・良性と考えられたが,筋上皮細胞の存在が明らかでなく細胞集塊も多く認められ,悪性を完全には否定できなかった.乳頭分泌により衣服に血液が絶えず付着する状況であり,治療・診断目的に左副乳頭と直下の乳腺組織の切除を行った.病理診断は乳管内乳頭腫であった.術後経過は良好で,現在,乳癌検診を兼ねて経過観察中である.副乳病変では穿刺吸引細胞診や針生検で確定診断が得られることは少なく,悪性病変が否定できない症例や日常の生活に支障をきたす症状を有する症例に対しては,積極的に外科的生検を考慮する必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.19