肝動脈塞栓術と肝切除の組み合わせが有効であった副腎皮質癌肝転移の1例

症例は44歳の女性.腹部膨満感の精査のCTで15cm大の左副腎腫瘍を認めた.手術にて摘出し副腎皮質癌Stage IIと診断した.術後1年で肝・肺転移再発しMitotane投与を開始した.肝転移の増大に対し術後3年で肝後区域切除を行った.その1年後には残肝に多発再発した.多血性腫瘍であったため肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を行うと,1箇所を残して他の病変は消失した.残存病変に肝部分切除を行い肝転移の寛解を得た.初回術後5年5カ月経過し,新規の肝転移はなく肺転移もMitotaneの継続投与で増大がない.副腎皮質癌肝転移の治療にTAEが...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 1; pp. 72 - 77
Main Authors 藤井, 正和, 安保, 義恭, 加藤, 健太郎, 高田, 実, 中村, 文隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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Summary:症例は44歳の女性.腹部膨満感の精査のCTで15cm大の左副腎腫瘍を認めた.手術にて摘出し副腎皮質癌Stage IIと診断した.術後1年で肝・肺転移再発しMitotane投与を開始した.肝転移の増大に対し術後3年で肝後区域切除を行った.その1年後には残肝に多発再発した.多血性腫瘍であったため肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を行うと,1箇所を残して他の病変は消失した.残存病変に肝部分切除を行い肝転移の寛解を得た.初回術後5年5カ月経過し,新規の肝転移はなく肺転移もMitotaneの継続投与で増大がない.副腎皮質癌肝転移の治療にTAEが有効という報告がある一方で,単独では局所制御が困難な場合も多い.経過を慎重に判断し適切な段階で外科切除を追加することで,長期生存を得られる可能性があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.72