結腸癌における機能的端々吻合術後吻合部再発例の検討

結腸癌手術において機能的端々吻合(functional end-to-end anastomosis;以下FEEA)は手術手技の簡便性と手術時間の短縮などの利点があり広く汎用されているが,普及に伴い吻合部再発の報告が増加している.今回,FEEA術後に吻合部再発をきたした症例について臨床的検討を行い,再発予防策について考察した.2000年4月から2010年3月までの当院での結腸癌手術症例のうち,FEEAは401例に行われ,5例(1.2%)で吻合部再発を認めた.再発例の臨床病理学的特徴は全て左側結腸癌の深達度ss,リンパ節転移陽性例で,再発時期は2年以内であった.吻合部再発の原因として重要なimp...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 19 - 23
Main Authors 斎藤, 健一郎, 宗本, 義則, 高嶋, 吉浩, 飯田, 善郎, 天谷, 奨, 三井, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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Summary:結腸癌手術において機能的端々吻合(functional end-to-end anastomosis;以下FEEA)は手術手技の簡便性と手術時間の短縮などの利点があり広く汎用されているが,普及に伴い吻合部再発の報告が増加している.今回,FEEA術後に吻合部再発をきたした症例について臨床的検討を行い,再発予防策について考察した.2000年4月から2010年3月までの当院での結腸癌手術症例のうち,FEEAは401例に行われ,5例(1.2%)で吻合部再発を認めた.再発例の臨床病理学的特徴は全て左側結腸癌の深達度ss,リンパ節転移陽性例で,再発時期は2年以内であった.吻合部再発の原因として重要なimplantationの可能性について考察すると,FEEAでは腸管内遊離癌細胞がstaple lineに噛み込まれる可能性と,癌細胞が生着可能なraw surfaceが生じるため,それらへのなんらかの予防的処置が必要であると考えられる.今後は直腸癌と同様に,結腸癌でも再発予防に向けた標準的手技の確立が求められる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.19