医療従事者のつなぎ式感染防護服のヒートストレス改善に関する研究―体幹部局所冷却が人体に及ぼす影響
つなぎ式感染防護服はヒートストレスを起こすことが課題となっている.本研究の目的は冷却剤による体幹部局所冷却が人体に及ぼす影響について検討することである.研究方法は,看護師16名を対象につなぎ式感染防護服着用時に冷却剤による体幹部局所冷却群(介入群)と対照群の2群に分けて看護シミュレーションを2時間実施した.ヒートストレスの指標として温熱・快適感覚,服内温湿度・体温・ゴーグルの曇りについて30分毎に測定した.その結果,介入群は対照群に比較して温熱感覚は着用直後から,快適感覚は30分後からいずれも2時間後まで有意に抑制効果があった.体温は対照群が時間と共に36.7~36.9℃に上昇したが,介入群は...
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Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 36; no. 1; pp. 35 - 43 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境感染学会
25.01.2021
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Summary: | つなぎ式感染防護服はヒートストレスを起こすことが課題となっている.本研究の目的は冷却剤による体幹部局所冷却が人体に及ぼす影響について検討することである.研究方法は,看護師16名を対象につなぎ式感染防護服着用時に冷却剤による体幹部局所冷却群(介入群)と対照群の2群に分けて看護シミュレーションを2時間実施した.ヒートストレスの指標として温熱・快適感覚,服内温湿度・体温・ゴーグルの曇りについて30分毎に測定した.その結果,介入群は対照群に比較して温熱感覚は着用直後から,快適感覚は30分後からいずれも2時間後まで有意に抑制効果があった.体温は対照群が時間と共に36.7~36.9℃に上昇したが,介入群は36.8℃以上にならず,有意差もなかった.ゴーグルの曇りは介入群が30分~2時間後まで4.0,対照群は30分後に4.0でその後は2.0で推移し,対照群はゴーグルの曇りが強い傾向にあった.体幹部局所冷却により皮膚表面温度上昇が抑制された結果,暑さの感覚が抑制され,快適感覚も高くなったと考える.体温について有意差はなかったが,体温上昇に伴い血管が拡張し,発汗により放熱され,体温上昇を抑制することで介入群の体温がやや低い値になったと考える.ゴーグルの曇りは対照群は時間経過で体温上昇していることからゴーグル内の曇りが強くなる傾向になったと考える.体幹部局所冷却はヒートストレスの改善に効果があることが示唆された. |
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ISSN: | 1882-532X 1883-2407 |
DOI: | 10.4058/jsei.36.35 |