イヌ回虫が原因と考えられた肝膿瘍の1例

症例は53歳,男性.上腹部痛を契機に超音波検査とCT検査にて複数個の肝占拠病変が発見された.初診時好酸球増多と軽度の肝機能障害を認め,CEA軽度高値であったため転移性肝癌との鑑別の目的で肝占拠病変に対し針生検を行ったところ好酸球性膿瘍の所見であった.血清学的検査ではイヌ回虫抗体が高値であり,イヌ回虫による肝膿瘍が疑われた.標準治療薬であるアルベンダゾール内服により白血球数,肝エコー所見,肝機能の改善を認めた.本症例は普段より猪や鹿肉の生食を好み,これが感染源であったと推測された....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 97 - 101
Main Authors 松下, 弘雄, 岡村, 茂樹, 齋藤, 誠哉, 坂本, 安見子, 西村, 卓祐, 木村, 正美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.97

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Summary:症例は53歳,男性.上腹部痛を契機に超音波検査とCT検査にて複数個の肝占拠病変が発見された.初診時好酸球増多と軽度の肝機能障害を認め,CEA軽度高値であったため転移性肝癌との鑑別の目的で肝占拠病変に対し針生検を行ったところ好酸球性膿瘍の所見であった.血清学的検査ではイヌ回虫抗体が高値であり,イヌ回虫による肝膿瘍が疑われた.標準治療薬であるアルベンダゾール内服により白血球数,肝エコー所見,肝機能の改善を認めた.本症例は普段より猪や鹿肉の生食を好み,これが感染源であったと推測された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.97