外傷性大動脈弁閉鎖不全症に対して大動脈弁形成術を施行した若年女性の1例

生来健康な28歳女性で,26歳のときにバイク事故により救命センターに搬送された.その際,心臓に異常はみられず,外傷に対して保存的加療を行い退院となった.その後,労作時呼吸苦が徐々に出現するようになり,心雑音を指摘されたため当院に紹介となった.心エコーの結果,重症大動脈弁閉鎖不全症と診断され,事故より2年後に外科的加療を行う方針となった.術前の心エコーで弁の性状がはっきりしなかったことに加え,挙児希望があるため生体弁での置換を予定したが,術中所見では無冠尖の穿孔であったため,自己心膜パッチを用いて弁形成を行った.経過は良好で術後14日目に退院となった.挙児希望のある若年女性の外傷性大動脈弁不全症...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 46; no. 1; pp. 6 - 10
Main Authors 藤井, 公輔, 宮下, 直也, 中本, 進, 湯上, 晋太郎, 佐賀, 俊彦, 札, 琢磨, 尾上, 雅彦, 西野, 貴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2017
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.46.6

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Summary:生来健康な28歳女性で,26歳のときにバイク事故により救命センターに搬送された.その際,心臓に異常はみられず,外傷に対して保存的加療を行い退院となった.その後,労作時呼吸苦が徐々に出現するようになり,心雑音を指摘されたため当院に紹介となった.心エコーの結果,重症大動脈弁閉鎖不全症と診断され,事故より2年後に外科的加療を行う方針となった.術前の心エコーで弁の性状がはっきりしなかったことに加え,挙児希望があるため生体弁での置換を予定したが,術中所見では無冠尖の穿孔であったため,自己心膜パッチを用いて弁形成を行った.経過は良好で術後14日目に退院となった.挙児希望のある若年女性の外傷性大動脈弁不全症に対し弁形成術を施行し,自己弁を温存することで術後の抗凝固療法を回避することができた症例を経験した.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.46.6