S-100蛋白発現を認めた乳腺glycogen-rich clear cell carcinomaの1例
症例は41歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に当院紹介受診.超音波検査にて左C領域に2.5cm大の腫瘤を認め,針生検でglycogen-rich clear cell carcinoma(GRCCC)の診断を得た.手術は乳房円状部分切除術および腋窩リンパ節郭清を行った.残存乳腺に50Gyの放射線治療の後,LH-RH agonist+Tamoxifenによる術後内分泌療法を開始した.病理組織診断では,H.E.染色,PAS染色の所見は典型的なGRCCCの像を示していた.免疫組織染色ではS-100蛋白が陽性であった.GRCCCは全乳癌の約0.9~3.0%と稀な乳腺腫瘍であり,腫瘍細胞全体の90%以上が胞体内...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 29 - 33 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2012
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.73.29 |
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Summary: | 症例は41歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に当院紹介受診.超音波検査にて左C領域に2.5cm大の腫瘤を認め,針生検でglycogen-rich clear cell carcinoma(GRCCC)の診断を得た.手術は乳房円状部分切除術および腋窩リンパ節郭清を行った.残存乳腺に50Gyの放射線治療の後,LH-RH agonist+Tamoxifenによる術後内分泌療法を開始した.病理組織診断では,H.E.染色,PAS染色の所見は典型的なGRCCCの像を示していた.免疫組織染色ではS-100蛋白が陽性であった.GRCCCは全乳癌の約0.9~3.0%と稀な乳腺腫瘍であり,腫瘍細胞全体の90%以上が胞体内に多量のグリコーゲンを含んだ淡明な細胞からなる腫瘍と定義され,診断にはPAS染色が有用であるとされている. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.73.29 |