魚骨による食道穿孔・後縦隔炎に合併した感染性胸部大動脈瘤の1例

症例は66歳,女性.鯛の煮付けを食べた際に,魚骨が喉に刺さったような違和感を自覚した.1週間後に嗄声と全身倦怠感を自覚し,近医を受診した.胸部X線で肺膿瘍が疑われ,当院紹介となった.造影CTで後縦隔炎,感染性大動脈瘤と診断し,緊急手術を施行した.食道穿孔の合併を疑い,術中に内視鏡検査を施行したが,食道穿孔を示唆する所見はなく,胸部下行大動脈人工血管置換術と大網充填術を行った.しかし,経口摂取再開後に食道穿孔が確認され,左膿胸と左広範囲無気肺を合併した.側開胸による食道へのアプローチは困難であったため,非開胸食道抜去術,後縦隔経路で胃管を用いた一期的食道再建を行った.合併症なく退院し,術後16カ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 1; pp. 30 - 35
Main Authors 石道, 基典, 大野, 暢久, 藤原, 慶一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.30

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Summary:症例は66歳,女性.鯛の煮付けを食べた際に,魚骨が喉に刺さったような違和感を自覚した.1週間後に嗄声と全身倦怠感を自覚し,近医を受診した.胸部X線で肺膿瘍が疑われ,当院紹介となった.造影CTで後縦隔炎,感染性大動脈瘤と診断し,緊急手術を施行した.食道穿孔の合併を疑い,術中に内視鏡検査を施行したが,食道穿孔を示唆する所見はなく,胸部下行大動脈人工血管置換術と大網充填術を行った.しかし,経口摂取再開後に食道穿孔が確認され,左膿胸と左広範囲無気肺を合併した.側開胸による食道へのアプローチは困難であったため,非開胸食道抜去術,後縦隔経路で胃管を用いた一期的食道再建を行った.合併症なく退院し,術後16カ月後の現在,感染の再燃なく経過している.開胸アプローチが困難な症例では,非開胸食道抜去術は有用な術式の一つと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.30