IgA腎症の小児期から成人期へのキャリーオーバー症例の臨床病理学的検討
小児期に発症し,16才以後までキャリーオーバーしたIgA腎症37例について,16才以後に尿が正常化した群と尿異常が持続した群に分け,キャリーオーバー関連因子を明らかにするために臨床病理学的検討を行った。 尿正常化群は8例,尿異常持続例は29例であった。発症,発見動機は両群ともchance hematuria and/or proteinuriaが最も多く,発症年令,腎生検時年令,最終観察時年令,男女比,高血圧,肉眼的血尿,腎機能,光顕所見における半月体と尿細管萎縮の頻度,蛍光抗体法所見は両群間で差がなかった。しかし,尿異常持続群では正常化群に比し,高度蛋白尿,糸球体増殖性変化,糸球体硬化,癒...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 6; no. 1; pp. 62 - 66 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
1993
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Subjects | |
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ISSN | 0915-2245 1881-3933 |
DOI | 10.3165/jjpn.6.62 |
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Summary: | 小児期に発症し,16才以後までキャリーオーバーしたIgA腎症37例について,16才以後に尿が正常化した群と尿異常が持続した群に分け,キャリーオーバー関連因子を明らかにするために臨床病理学的検討を行った。 尿正常化群は8例,尿異常持続例は29例であった。発症,発見動機は両群ともchance hematuria and/or proteinuriaが最も多く,発症年令,腎生検時年令,最終観察時年令,男女比,高血圧,肉眼的血尿,腎機能,光顕所見における半月体と尿細管萎縮の頻度,蛍光抗体法所見は両群間で差がなかった。しかし,尿異常持続群では正常化群に比し,高度蛋白尿,糸球体増殖性変化,糸球体硬化,癒着が多く認められた。 以上より,小児期IgA腎症において,高度蛋白尿,強い糸球体増殖性変化,糸球体硬化,癒着が多く認められる症例は成人期にキャリーオーバーする可能性が高いと思われた。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.6.62 |