脳室-腹腔シャント経路の腹壁に再発した乳癌の1例

われわれは脳室-腹腔 (V-P) シャント経路の腹壁に乳癌再発を認めた1症例を経験した.症例は52歳女性.クモ膜下出血術後の続発性水頭症のため右胸壁経由のV-Pシャント術を受けた後4カ月目に右乳癌と診断され,画像診断で右乳房B領域の腫瘍とシャントチューブが貫通している所見が認められた.乳癌の根治術時にシャント経路変更術を行い,右乳房とチューブを一塊にして摘出した.切除標本でチューブは腫瘍にinvolveされていたが,チューブに沿った癌の進展は認められなかった.乳癌の術後14カ月目に腹部の旧チューブ経路の皮下に1cm大の腫瘤を認め,腫瘍切除術を施行した.組織型は腺癌で,シャントチューブ経路の腹壁...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 32 - 38
Main Authors 土屋, 和代, 前原, 直樹, 船ケ山, まゆみ, 千々岩, 一男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.32

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Summary:われわれは脳室-腹腔 (V-P) シャント経路の腹壁に乳癌再発を認めた1症例を経験した.症例は52歳女性.クモ膜下出血術後の続発性水頭症のため右胸壁経由のV-Pシャント術を受けた後4カ月目に右乳癌と診断され,画像診断で右乳房B領域の腫瘍とシャントチューブが貫通している所見が認められた.乳癌の根治術時にシャント経路変更術を行い,右乳房とチューブを一塊にして摘出した.切除標本でチューブは腫瘍にinvolveされていたが,チューブに沿った癌の進展は認められなかった.乳癌の術後14カ月目に腹部の旧チューブ経路の皮下に1cm大の腫瘤を認め,腫瘍切除術を施行した.組織型は腺癌で,シャントチューブ経路の腹壁に再発したものと考えられた.シャントチューブが関連したと考えられる乳癌の再発報告は例がなく極めて稀と考えられたため,手術法や術後の治療について検討し報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.32