血液培養ガイドラインによる消毒方法は鼠径部からの血液培養の汚染率を低減する―特定医師実施の血液培養採血検体による汚染率の検証
目的:血液培養のガイドラインでは,陽性率5~15%,汚染率2~3%以下が適切とされる.鼠径部からの採血はコンタミネーションが増えると言われているが,当院では圧倒的に鼠径部からの採血で行う事が多い.2016年よりガイドラインに準じた消毒方法を遵守し,それにより鼠径部からのコンタミネーションが軽減できるかどうかを検証した.個人間の手技の違いを排除するため,検証にあたり特定の1名の医師が採血した検体のみを取り上げた.方法:2014年からの5年間,当院において提出した血液培養のうち,1名の医師が実施した血液培養を対象とした記述統計,ならびに過去起点コホートスタディを実施した.結果:800セットを分析し...
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Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 36; no. 1; pp. 53 - 59 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境感染学会
25.01.2021
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Summary: | 目的:血液培養のガイドラインでは,陽性率5~15%,汚染率2~3%以下が適切とされる.鼠径部からの採血はコンタミネーションが増えると言われているが,当院では圧倒的に鼠径部からの採血で行う事が多い.2016年よりガイドラインに準じた消毒方法を遵守し,それにより鼠径部からのコンタミネーションが軽減できるかどうかを検証した.個人間の手技の違いを排除するため,検証にあたり特定の1名の医師が採血した検体のみを取り上げた.方法:2014年からの5年間,当院において提出した血液培養のうち,1名の医師が実施した血液培養を対象とした記述統計,ならびに過去起点コホートスタディを実施した.結果:800セットを分析し,採血部位は鼠径部が94.4%で上肢が5.6%,複数セット採取率は99.0%であった.ガイドラインに準じた消毒方法へ変更した2016年より鼠径部採血の陽性率,汚染率とも低下し,2016から2018年における鼠径部採血の汚染率は1.7%であった.上肢採血の汚染率は0%であったが有意差は見られなかった.考察:鼠径部からの血液培養採血はコンタミネーションが増える傾向はあるが,ガイドラインに準じた適切な皮膚消毒が行われれば適正範囲内の汚染率は可能となると考えられる. |
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ISSN: | 1882-532X 1883-2407 |
DOI: | 10.4058/jsei.36.53 |