片側性副鼻腔病変におけるCTの有用性に関する検討

片側性副鼻腔病変の診断において副鼻腔CTはもっとも行われている検査の一つであるがその有用性の程度に関する詳細な報告はこれまでにほとんど行われていない。また,臨床上,片側性副鼻腔病変におけるMRIの有用性について疑いのないところであるが,副鼻腔疾患全症例においてMRIを撮影することは施設によっては困難である上,検査過剰との意見もあり,副鼻腔MRIを施行すべき症例について明確なコンセンサスは得られていない。今回,片側性副鼻腔炎病変におけるCTの有用性の程度を評価するため,実験的に画像評価に関する検討を行った。大阪大学耳鼻咽喉科関連病院勤務医15名(耳鼻咽喉科専門医8名,非専門医7名)を対象にCT画...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 59; no. 2; pp. 132 - 138
Main Authors 武田, 和也, 小幡, 翔, 前田, 陽平, 津田, 武, 猪原, 秀典, 天野, 雄太, 赤澤, 仁司, 川島, 貴之, 端山, 昌樹, 中谷, 彩香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2020
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.59.132

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Summary:片側性副鼻腔病変の診断において副鼻腔CTはもっとも行われている検査の一つであるがその有用性の程度に関する詳細な報告はこれまでにほとんど行われていない。また,臨床上,片側性副鼻腔病変におけるMRIの有用性について疑いのないところであるが,副鼻腔疾患全症例においてMRIを撮影することは施設によっては困難である上,検査過剰との意見もあり,副鼻腔MRIを施行すべき症例について明確なコンセンサスは得られていない。今回,片側性副鼻腔炎病変におけるCTの有用性の程度を評価するため,実験的に画像評価に関する検討を行った。大阪大学耳鼻咽喉科関連病院勤務医15名(耳鼻咽喉科専門医8名,非専門医7名)を対象にCT画像評価を依頼した。2016年10月から2017年9月において大阪大学耳鼻咽喉科関連病院で手術加療を行った片側性副鼻腔炎患者のうち,5例を無作為に選出した。副鼻腔CTより疑われる疾患の割合を副鼻腔炎,真菌症,アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(Allergic fungal rhinosinusitis: AFRS),歯性副鼻腔炎,内反性乳頭腫,悪性腫瘍,その他の7項目に合計が100となるように分配させることで評価させた。各症例において正解となる疾患に割り振られた値の中央値は50%未満で,耳鼻咽喉科医毎に診断に大きな隔たりがあり統一した見解を示唆する傾向は認めなかった。CT画像のみでは確実な診断には至らず,今回の検討では診断確定という点における副鼻腔CTの有用性は限定的であった。今後はMRIによる診断率向上の評価なども含め検討を続けていく予定である。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.59.132