半側空間無視における時計描画の数字の配置について
半側空間無視における時計描画の数字の配置に関与する要因を検討した。対象は脳血管障害により半側空間無視を呈し, かつ時計描画において数字を不適切に配置した 32 名とした。数字の配置に関する分析として, 時計の左右側における数字の分布率を示す Transposition index (TI) を用いた。分析項目は, (1) TI と損傷部位の関係, (2) TI と線分抹消課題のLaterality index (LI) の関係, (3) 反時計回りに数字を記入した際の反応, (4) 単一の数字を記入した際の反応の 4 つとした。結果は数字の配置の偏りが症例により異なりTI は広範に分布した。さ...
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Published in | 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 36; no. 1; pp. 20 - 29 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本高次脳機能学会
31.03.2016
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Subjects | |
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ISSN | 1348-4818 1880-6554 |
DOI | 10.2496/hbfr.36.20 |
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Summary: | 半側空間無視における時計描画の数字の配置に関与する要因を検討した。対象は脳血管障害により半側空間無視を呈し, かつ時計描画において数字を不適切に配置した 32 名とした。数字の配置に関する分析として, 時計の左右側における数字の分布率を示す Transposition index (TI) を用いた。分析項目は, (1) TI と損傷部位の関係, (2) TI と線分抹消課題のLaterality index (LI) の関係, (3) 反時計回りに数字を記入した際の反応, (4) 単一の数字を記入した際の反応の 4 つとした。結果は数字の配置の偏りが症例により異なりTI は広範に分布した。さらに時計の外円内の右側のみに数字を配置した症例は, 6 までと 6 以上の数字を書く 2 群が確認された。前者は頭頂葉に限局した損傷例で, 後者は前頭葉や頭頂葉を含む広範な脳損傷例であった。また TI と LI は関連を認めなかった。反時計回りや単一の数字を記入する場合では数字の配置に偏りを認めない症例が確認された。以上より, 半側空間無視における時計描画の数字の配置の誤りは, 半側空間無視に合併するその他の障害の影響を受けることを示唆した。 |
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ISSN: | 1348-4818 1880-6554 |
DOI: | 10.2496/hbfr.36.20 |