腸閉塞にて発症した腹腔内遺残ガーゼ小腸内迷入の1例

症例は47歳,女性.平成24年4月,心窩部痛を主訴に受診した.既往歴は,平成17年に他院にて子宮筋腫で子宮全摘術を受けている.腹部単純X線および腹部造影CTの所見より,腸管内異物による腸閉塞と診断された.入院後イレウス管を挿入し減圧を図っていたが,経過中に腹膜炎症状を認め緊急開腹手術を施行した.手術所見では,回盲部から約50cm口側の回腸近傍に膿瘍形成を認め,膿瘍腔は回腸と穿通していた.その肛門側の回腸内に径10cmの腫瘤を触知した.腫瘤部の回腸を小切開して腫瘤を摘出すると,ガーゼを中心とした一塊の異物であり,子宮全摘術の際の遺残ガーゼが消化管内に迷入したと考えられた.術後の経過は良好であり術...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 87 - 90
Main Authors 原, 健太朗, 前澤, 幸男, 沼田, 正勝, 神, 康之, 蓮尾, 公篤, 利野, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:症例は47歳,女性.平成24年4月,心窩部痛を主訴に受診した.既往歴は,平成17年に他院にて子宮筋腫で子宮全摘術を受けている.腹部単純X線および腹部造影CTの所見より,腸管内異物による腸閉塞と診断された.入院後イレウス管を挿入し減圧を図っていたが,経過中に腹膜炎症状を認め緊急開腹手術を施行した.手術所見では,回盲部から約50cm口側の回腸近傍に膿瘍形成を認め,膿瘍腔は回腸と穿通していた.その肛門側の回腸内に径10cmの腫瘤を触知した.腫瘤部の回腸を小切開して腫瘤を摘出すると,ガーゼを中心とした一塊の異物であり,子宮全摘術の際の遺残ガーゼが消化管内に迷入したと考えられた.術後の経過は良好であり術後17日目に退院となった. 本邦における腹腔内遺残ガーゼ消化管迷入の報告は非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.87