腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術後に発症したNOMIの1例
症例は70歳台,男性.腹部大動脈瘤の診断となり,ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.EVAR 4日後に腹痛・下血が認められ,画像所見上,腸管壊死・穿孔は明らかではなかったため,保存的加療を行った.EVAR 6日後に腹痛の急激な増悪が出現し,腹腔内遊離ガスが認められたため,緊急開腹手術となった.術中所見では空腸から回腸の腸管壁が非連続性に壊死し,一部が穿孔していたため,約300cmの広範囲小腸を切除した.病理組織学的検査では腸間膜動脈に血栓・塞栓は認められず,非閉塞性腸管虚血(NOMI)と考えられた.術後,肺炎・感染性大動脈瘤を発症し,術後第57病日に多臓器不全のため永眠された.EVA...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 45 - 49 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2014
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.75.45 |
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Summary: | 症例は70歳台,男性.腹部大動脈瘤の診断となり,ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.EVAR 4日後に腹痛・下血が認められ,画像所見上,腸管壊死・穿孔は明らかではなかったため,保存的加療を行った.EVAR 6日後に腹痛の急激な増悪が出現し,腹腔内遊離ガスが認められたため,緊急開腹手術となった.術中所見では空腸から回腸の腸管壁が非連続性に壊死し,一部が穿孔していたため,約300cmの広範囲小腸を切除した.病理組織学的検査では腸間膜動脈に血栓・塞栓は認められず,非閉塞性腸管虚血(NOMI)と考えられた.術後,肺炎・感染性大動脈瘤を発症し,術後第57病日に多臓器不全のため永眠された.EVARは従来の手術と比較して低侵襲であるが,それ故に高リスク症例に対しても施行される傾向にある.EVAR後に急激な腹痛を発症した際にはNOMIの発症を考慮し,迅速に治療方針を決定することが重要と考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.75.45 |