メロペネムの供給停止に伴うカルバペネム系抗菌薬の許可制と薬剤師の専従化による評価指標に及ぼす影響
2022年8月下旬にジェネリック医薬品メーカーT社のメロペネム(MEPM)は供給停止となった.当院は,カルバペネム系抗菌薬の代替薬選定だけでなく適正使用を目的として,カルバペネム系抗菌薬の許可制と抗菌薬適正使用支援チーム薬剤師の専従化を導入した.本研究は,当院入院患者を対象に,導入前後(以下,Pre群,Post群)を比較した単施設コホート研究である.1000入院患者あたりの提案件数と相談件数は,Pre群1.3件と0.5件からPost群3.1件と1.6件へ有意に増加した(p<0.05).カルバペネム系抗菌薬と抗緑膿菌活性のある抗菌薬の使用日数(DOTs/1000 patient-days)は,P...
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Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 38; no. 6; pp. 272 - 277 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境感染学会
25.11.2023
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Summary: | 2022年8月下旬にジェネリック医薬品メーカーT社のメロペネム(MEPM)は供給停止となった.当院は,カルバペネム系抗菌薬の代替薬選定だけでなく適正使用を目的として,カルバペネム系抗菌薬の許可制と抗菌薬適正使用支援チーム薬剤師の専従化を導入した.本研究は,当院入院患者を対象に,導入前後(以下,Pre群,Post群)を比較した単施設コホート研究である.1000入院患者あたりの提案件数と相談件数は,Pre群1.3件と0.5件からPost群3.1件と1.6件へ有意に増加した(p<0.05).カルバペネム系抗菌薬と抗緑膿菌活性のある抗菌薬の使用日数(DOTs/1000 patient-days)は,Pre群46.3±3.7と100.9±7.3からPost群10.1±6.7と85.4±9.0へどちらも有意に減少した(p<0.05).菌血症患者の30日死亡率は,Pre群8.1%(17人/209人)からPost群6.5%(15人/232人)と有意な変化は認めなかった.緑膿菌の耐性率は,MEPM(Pre群19.5%,Post群6.2%)とドリペネム(DRPM;Pre群14.9%,Post群2.5%)で有意に減少した(p<0.05).以上,MEPMの供給停止が1つの機会となり,プロセス指標とアウトカム指標の両面からカルバペネム系抗菌薬適正使用を推進できたことが示唆された. |
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ISSN: | 1882-532X 1883-2407 |
DOI: | 10.4058/jsei.38.272 |