新しい知見を踏まえた適切な消毒薬の選択と使用

コロナ禍を経て,医療現場では消毒薬の適正使用の重要性が再認識された.生体に使用する消毒薬には,使用できない部位があるもの,適応部位によって使用濃度が異なるものがある.生体への処置の際,創傷部位や粘膜に対し希釈濃度を誤り,高濃度の消毒薬を使用するとショックを起こす恐れがある.常に消毒薬の効果と副作用防止を意識する必要がある.医療機関での環境整備の基本は清掃だが,汚染時には消毒が必要となる.患者に使用する器材の消毒方法は,器材を使用する部位の感染の危険度に応じて決定されることを理解しておかなければならない.医療従事者の手指消毒の遵守は,いまだに医療施設の感染対策にとって重要な課題の一つである.必要...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 38; no. 4; pp. 167 - 172
Main Authors 中川, 博雄, 今村, 政信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.07.2023
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Summary:コロナ禍を経て,医療現場では消毒薬の適正使用の重要性が再認識された.生体に使用する消毒薬には,使用できない部位があるもの,適応部位によって使用濃度が異なるものがある.生体への処置の際,創傷部位や粘膜に対し希釈濃度を誤り,高濃度の消毒薬を使用するとショックを起こす恐れがある.常に消毒薬の効果と副作用防止を意識する必要がある.医療機関での環境整備の基本は清掃だが,汚染時には消毒が必要となる.患者に使用する器材の消毒方法は,器材を使用する部位の感染の危険度に応じて決定されることを理解しておかなければならない.医療従事者の手指消毒の遵守は,いまだに医療施設の感染対策にとって重要な課題の一つである.必要なタイミングで確実な手指消毒を実践することが望まれる.本稿では,生体,器材と環境,手指に対する消毒薬の適正使用の実践に必要な基礎知識に加え,新しい知見も踏まえて,消毒薬を体系的に理解できるようまとめた.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.38.167