自己免疫性疲労症候群と線維筋痛症の関係についての検討

線維筋痛症(fibromyalgia;FM)は全身の慢性的疼痛と特徴的な多数の圧痛点を認め, 多彩な不定愁訴を呈する原因不明の疾患である1. わが国, とくに小児科領域では馴染みの薄い疾患であるように思われているが, 欧米では学童期人口の6.2%に認められるとする報告もある2. その原因は不明であるが, 一義的な睡眠障害3, 4, 間脳-下垂体-副腎皮質系の異常5, 精神的ストレスの関与6, 7, HIVなどのウィルス感染8やIL-2産生異常9などが指摘されている. なかでも, 抗核抗体陽性例が約30%存在すること, SLE患者にFMの合併が認められることなどから, リウマチ性あるいは自己免疫...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 66; no. 4; pp. 239 - 244
Main Authors 伊藤, 保彦, 五十嵐, 徹, 立麻, 典子, 今井, 大洋, 吉田, 順子, 土屋, 正己, 村上, 睦美, 福永, 慶隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 1999
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Summary:線維筋痛症(fibromyalgia;FM)は全身の慢性的疼痛と特徴的な多数の圧痛点を認め, 多彩な不定愁訴を呈する原因不明の疾患である1. わが国, とくに小児科領域では馴染みの薄い疾患であるように思われているが, 欧米では学童期人口の6.2%に認められるとする報告もある2. その原因は不明であるが, 一義的な睡眠障害3, 4, 間脳-下垂体-副腎皮質系の異常5, 精神的ストレスの関与6, 7, HIVなどのウィルス感染8やIL-2産生異常9などが指摘されている. なかでも, 抗核抗体陽性例が約30%存在すること, SLE患者にFMの合併が認められることなどから, リウマチ性あるいは自己免疫性疾患の要素が推測されている10, 11. われわれはこれまで抗核抗体陽性の慢性的不定愁訴患者に注目し, そのような患者に特有な自己抗体(抗Sa抗体)が検出されることなどから, 自己免疫性疲労症候群(autoimmune fatigue syndrome;AIFS)という疾患概念を提唱してきた12.
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.66.239