著しい可動性を有した膵漿液性嚢胞腺腫の1例
症例は36歳,女性.上腹部に可動性腫瘤を自覚し,CTで嚢胞性腫瘍を指摘され受診.触診で上腹部に5cm大の腫瘤を触知し,用手的に容易に左右に移動した.画像では蜂巣状構造を呈し,漿液性嚢胞腺腫が疑われた.腫瘤径が4cm以上であったため手術を行った.腫瘤は膵頭部前面から膵外へ広基性に発生しており,基部となっている膵実質も含めて腫瘤を摘出した.病理組織学的検査でmicro cystic typeの漿液性嚢胞腺腫と診断した.術中所見では膵臓自体には可動性がなく,腫瘍が膵外発育をしたことが可動性の原因と考えた.本邦における可動性膵腫瘍の報告は8例あり,膵腫瘍も可動性腹部腫瘤の鑑別診断に挙げる必要がある....
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 3; pp. 585 - 589 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2018
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.79.585 |
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Summary: | 症例は36歳,女性.上腹部に可動性腫瘤を自覚し,CTで嚢胞性腫瘍を指摘され受診.触診で上腹部に5cm大の腫瘤を触知し,用手的に容易に左右に移動した.画像では蜂巣状構造を呈し,漿液性嚢胞腺腫が疑われた.腫瘤径が4cm以上であったため手術を行った.腫瘤は膵頭部前面から膵外へ広基性に発生しており,基部となっている膵実質も含めて腫瘤を摘出した.病理組織学的検査でmicro cystic typeの漿液性嚢胞腺腫と診断した.術中所見では膵臓自体には可動性がなく,腫瘍が膵外発育をしたことが可動性の原因と考えた.本邦における可動性膵腫瘍の報告は8例あり,膵腫瘍も可動性腹部腫瘤の鑑別診断に挙げる必要がある. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.79.585 |