手術室内での手術部位感染症対策に関する最近の動向―WHOによる「手術部位感染症予防のためのグローバルガイドライン」を中心に

手術部位感染症は患者負担や病院経営,医療経済学的視点から大きな関心を集めており,その予防を目的に多くの研究がなされ,それらの研究成果をまとめて種々のガイドライン(以下GL)が多くの国・地方で作成されて来た.そのような中,2016年に世界保健機関(Word Health Organization:以下WHO)は「手術部位感染症予防のためのグローバルガイドライン」を,初めて世界中の全ての国を対象としたGLとして公開したが,その翌年には米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)と米国外科学会(American College of...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 36; no. 3; pp. 136 - 141
Main Author 臼杵, 尚志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.05.2021
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Summary:手術部位感染症は患者負担や病院経営,医療経済学的視点から大きな関心を集めており,その予防を目的に多くの研究がなされ,それらの研究成果をまとめて種々のガイドライン(以下GL)が多くの国・地方で作成されて来た.そのような中,2016年に世界保健機関(Word Health Organization:以下WHO)は「手術部位感染症予防のためのグローバルガイドライン」を,初めて世界中の全ての国を対象としたGLとして公開したが,その翌年には米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)と米国外科学会(American College of Surgeons)が同じ目的のGLを更新した.これらのGLは概ね同じ方向性で作成されているが,推奨内容や推奨度の細部に差が見られているため,現場での実務の際にどのように行動すべきか戸惑うことも想定される.そこでWHOのGLに書かれた内容を中心に手術室内で行われる行為に焦点を当て,全身管理に関わる内容と局所管理に関わる内容について「本邦の現場で具体的に行動する際の指標」という視点から述べる.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.36.136