発熱外来受診者のトリアージについての検討:1,004症例の症状分析

新型コロナウイルス感染症を院内に持ち込まないため,様々な対策が実施されている.発熱外来もその一つであり,疑い患者を院内に入れないことが目的であった.当院でも院内への持ち込みを防止するため発熱外来を設置したが,発熱の有無に関わらず上気道症状がある患者も対象とした.当院のトリアージ内容が適切であったかを評価し,有効なトリアージ内容を明確にすることを目的に発熱外来でPCRを提出した症例について後ろ向きに分析をした.発熱外来受診者の症状を流行時期に応じて従来株を想定したI期(2020年3月~2021年1月),オミクロン株を想定したII期(2022年2月)の1,004症例について分析を行った.流行時期に...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 38; no. 4; pp. 209 - 214
Main Author 小野寺, 隆記
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.07.2023
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Summary:新型コロナウイルス感染症を院内に持ち込まないため,様々な対策が実施されている.発熱外来もその一つであり,疑い患者を院内に入れないことが目的であった.当院でも院内への持ち込みを防止するため発熱外来を設置したが,発熱の有無に関わらず上気道症状がある患者も対象とした.当院のトリアージ内容が適切であったかを評価し,有効なトリアージ内容を明確にすることを目的に発熱外来でPCRを提出した症例について後ろ向きに分析をした.発熱外来受診者の症状を流行時期に応じて従来株を想定したI期(2020年3月~2021年1月),オミクロン株を想定したII期(2022年2月)の1,004症例について分析を行った.流行時期により症状の分布は異なっており,I期ではPCR陽性者と陰性者間で有意差が無かった発熱も,II期になると有意な指標へと変化した.咳,咽頭痛などの上気道症状もI期では有意ではなかったが,II期では有意な症状へと変化していた.一方でI期では頻度が高かった嗅覚・味覚障害はII期ではほぼ認められない所見となっていた.結果的に発熱以外の上気道症状のある者を発熱外来で対応したことは,院内への持ち込み防止に寄与した可能性が示唆された.発熱外来におけるトリアージ内容は既知の知見に頼らずに,慎重な症状聴取と分析を継続することが必要であることが示された.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.38.209