HFpEFと薬物療法の展開

「はじめに」社会の高齢化とともに心不全患者が増加する中で, heart failure with preserved ejection fraction (HFpEF)が心不全患者の中に占める割合は増加を続けている. しかし, いまだ有効な薬物治療法が見出されていない. 本稿では, 現在我々が用いうる薬剤のHFpEF治療における位置づけ, そしてこれからわが国で用いうることになることが期待されている薬剤について論じる. 「現在用いられている薬剤」「1. ループ利尿薬」ループ利尿薬は, うっ血に基づく症状の軽減を図るために広く用いられており, その有用性に疑問の余地はない. しかしループ利尿薬と...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 2; pp. 254 - 262
Main Author 山本, 一博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.02.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.254

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Summary:「はじめに」社会の高齢化とともに心不全患者が増加する中で, heart failure with preserved ejection fraction (HFpEF)が心不全患者の中に占める割合は増加を続けている. しかし, いまだ有効な薬物治療法が見出されていない. 本稿では, 現在我々が用いうる薬剤のHFpEF治療における位置づけ, そしてこれからわが国で用いうることになることが期待されている薬剤について論じる. 「現在用いられている薬剤」「1. ループ利尿薬」ループ利尿薬は, うっ血に基づく症状の軽減を図るために広く用いられており, その有用性に疑問の余地はない. しかしループ利尿薬と称される薬剤にも複数あり, 我々は以前から薬剤間の違いに留意する必要があることを述べてきた. ループ利尿薬にも他の心血管系の薬剤同様に作用時間の差があり, 長時間作用型ループ利尿薬のアゾセミドのほうが短時間作用型のフロセミドに比べ心不全モデル動物の予後を改善することを我々は報告し, この結果に基づいてJ-MELODIC試験を実施した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.254