硫酸マグネシウムが原因と考えられた橋中心性脱髄症候群の1例

橋中心性脱髄症候群(Central pontine myelinolysis:CPM)は,通常低ナトリウム血症における急速なナトリウム補正によって引き起こされる疾患である.妊娠に関連するCPMの報告は重症妊娠悪阻での症例が多く,Wernicke脳症と合併している報告もある.低ナトリウム血症と無関係なCPMも報告されており,重度の電解質異常による高浸透圧ストレスによって希突起膠細胞が損傷し,髄鞘溶解が起こると考えられている.本症例は,切迫早産に対して硫酸マグネシウムを投与中に右下肢不随意運動が出現し,硫酸マグネシウムの投与中止,ビタミン補充によって症状が改善し,Wernicke脳症を併発したCP...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 60; no. 1; pp. 155 - 160
Main Authors 髙辻, 典子, 加藤, 雄一郎, 林, 佳奈, 反中, 志緒理, 荒堀, 憲二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2024
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Summary:橋中心性脱髄症候群(Central pontine myelinolysis:CPM)は,通常低ナトリウム血症における急速なナトリウム補正によって引き起こされる疾患である.妊娠に関連するCPMの報告は重症妊娠悪阻での症例が多く,Wernicke脳症と合併している報告もある.低ナトリウム血症と無関係なCPMも報告されており,重度の電解質異常による高浸透圧ストレスによって希突起膠細胞が損傷し,髄鞘溶解が起こると考えられている.本症例は,切迫早産に対して硫酸マグネシウムを投与中に右下肢不随意運動が出現し,硫酸マグネシウムの投与中止,ビタミン補充によって症状が改善し,Wernicke脳症を併発したCPMと考えられた一絨毛膜二羊膜双胎の1例である.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.60.1_155