微小浸潤を伴う男性嚢胞内乳癌の1例

男性乳癌は全乳癌の約1%とされる稀な疾患であり,嚢胞内乳癌は全乳癌の2-3%以下の頻度と報告されている.微小浸潤を伴う男性嚢胞内乳癌の本邦報告例は,自験例を含めて2例のみであった.今回われわれは,微小浸潤を伴う男性嚢胞内乳癌の1例を経験したので報告する. 症例は83歳の男性,右乳房腫瘤を主訴に来院.右乳房EACB領域に弾性硬,辺縁明瞭な腫瘤を認め,腋窩リンパ節の腫脹は認めなかった.乳房超音波検査では,右乳頭直下やや内側にかけて内部に点状の血流シグナルを伴う45×39×29mmの嚢胞性腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診ではclass IIIであり,悪性を否定できないため腫瘍摘出術を行った.生検結果は乳...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 4; pp. 692 - 696
Main Authors 山田, 健司, 木井, 修平, 花本, 尊之, 廣瀬, 邦弘, 鈴木, 昭, 高橋, 周作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.692

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Summary:男性乳癌は全乳癌の約1%とされる稀な疾患であり,嚢胞内乳癌は全乳癌の2-3%以下の頻度と報告されている.微小浸潤を伴う男性嚢胞内乳癌の本邦報告例は,自験例を含めて2例のみであった.今回われわれは,微小浸潤を伴う男性嚢胞内乳癌の1例を経験したので報告する. 症例は83歳の男性,右乳房腫瘤を主訴に来院.右乳房EACB領域に弾性硬,辺縁明瞭な腫瘤を認め,腋窩リンパ節の腫脹は認めなかった.乳房超音波検査では,右乳頭直下やや内側にかけて内部に点状の血流シグナルを伴う45×39×29mmの嚢胞性腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診ではclass IIIであり,悪性を否定できないため腫瘍摘出術を行った.生検結果は乳頭腺管癌で断端陽性であったため,乳房全摘術とセンチネルリンパ節生検を施行した.最終病理診断は乳頭腺管癌であり,微小浸潤を認めた.術後はタモキシフェンの内服を5年間行い,7年間無再発生存中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.692