肝細胞癌の肝外転移検索に全身拡散強調MRIが有用であった3例

肝細胞癌の肝外転移検索には胸腹部CTやPET-CT,骨シンチグラフィーが有用である一方で偽陰性症例もある.近年,拡散強調画像は様々な癌腫の転移検索に有用と考えられている.今回,全身拡散強調MRIが有用であった3症例を経験した.症例1は60歳代の女性.肝細胞癌術後経過観察中に腫瘍マーカー上昇を認めたがCT,骨シンチグラフィーでは指摘し得ず,全身拡散強調MRIで腹腔内に播種巣を指摘し得た.症例2は70歳代男性.ソラフェニブ投与中に腰痛を認め,骨シンチグラフィーで腰椎転移を指摘された.全身拡散強調MRIでは骨シンチグラフィーよりはるかに多くの転移巣を認め,感度の差が著明であった.症例3は80歳代女性...

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Published in肝臓 Vol. 60; no. 2; pp. 70 - 76
Main Authors 池澤, 賢治, 中西, 克之, 高田, 良司, 福武, 伸康, 日下部, 瑛, 片山, 和宏, 今井, 俊裕, 阿部, 友太朗, 清田, 良介, 大川, 和良, 名和, 誉敏, 榊原, 充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 20.02.2019
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.60.70

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Summary:肝細胞癌の肝外転移検索には胸腹部CTやPET-CT,骨シンチグラフィーが有用である一方で偽陰性症例もある.近年,拡散強調画像は様々な癌腫の転移検索に有用と考えられている.今回,全身拡散強調MRIが有用であった3症例を経験した.症例1は60歳代の女性.肝細胞癌術後経過観察中に腫瘍マーカー上昇を認めたがCT,骨シンチグラフィーでは指摘し得ず,全身拡散強調MRIで腹腔内に播種巣を指摘し得た.症例2は70歳代男性.ソラフェニブ投与中に腰痛を認め,骨シンチグラフィーで腰椎転移を指摘された.全身拡散強調MRIでは骨シンチグラフィーよりはるかに多くの転移巣を認め,感度の差が著明であった.症例3は80歳代女性.肝内病変増大や腫瘍マーカーの上昇を認め,肝外転移検索の全身拡散強調MRIで右上腕,右大腿に転移を指摘し得た.全身拡散強調MRIは肝細胞癌の肝外転移検索に有用であり,選択肢の一つとなり得る.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.60.70