乳管腺葉区域切除術にICG蛍光法が有効であった乳癌の1例

症例は73歳の女性で,約20年前から右乳頭より血性分泌を認めた.細胞診はclass IIIbであった.マンモグラフィ検査ではカテゴリー1で,超音波検査では右乳房E領域外側に約10×3×4mmの低エコー領域と拡張乳管を認めた.MRI検査では右乳腺のAC領域に乳管内進展腫瘍の存在を否定できなかった.診断と治療のため乳管腺葉区域切除術を施行した.インジゴカルミンとICGを原因乳管内に注入後,原因乳管と切除範囲となる腺葉区域が蛍光された.病理所見はInvasive ductal carcinoma with a predominant intraductal component,T1,N0,M0,st...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 5; pp. 962 - 966
Main Authors 藤井, 雅和, 須藤, 隆一郎, 野島, 真治, 金田, 好和, 池, 創一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.962

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Summary:症例は73歳の女性で,約20年前から右乳頭より血性分泌を認めた.細胞診はclass IIIbであった.マンモグラフィ検査ではカテゴリー1で,超音波検査では右乳房E領域外側に約10×3×4mmの低エコー領域と拡張乳管を認めた.MRI検査では右乳腺のAC領域に乳管内進展腫瘍の存在を否定できなかった.診断と治療のため乳管腺葉区域切除術を施行した.インジゴカルミンとICGを原因乳管内に注入後,原因乳管と切除範囲となる腺葉区域が蛍光された.病理所見はInvasive ductal carcinoma with a predominant intraductal component,T1,N0,M0,stage I,切除断端(-),ER(+),PgR(+)であった.術後アロマターゼ阻害剤の内服と放射線療法を施行した.本手技は原因乳管の支配する腺葉区域をリアルタイムで確認でき,かつ安全に施行可能と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.962