右手の脳梁失行と解離性運動抑制障害を呈した左手利き脳腫瘍患者 1 例に対するリハビリテーション
今回, 右手の脳梁失行と解離性運動抑制障害を呈した左手利きの 1 例を経験した。症例は, 40 歳代の男性で, 術前の WADA テストでは言語優位半球は右半球であった。脳室内髄膜腫治療後に, 脳梁および左半球内側前頭前皮質, 補足運動野, 視床, 下頭頂小葉に術後変化を認め, 両手の協調運動障害や右手の失行に伴う右手の随意的コントロールの低下に加えて, 意志に反する右手の使用により, 日常生活に障害をきたした。そこで, 右手一側の上肢機能練習や両手の協調運動練習に加えて, 左手による右手の誘導という動作の工夫, 言語化, リラクゼーション, 視野の外に右手を置くなどの異常運動の抑制方法の獲得...
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Published in | 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 41; no. 2; pp. 227 - 238 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
30.06.2021
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Subjects | |
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ISSN | 1348-4818 1880-6554 |
DOI | 10.2496/hbfr.41.227 |
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Summary: | 今回, 右手の脳梁失行と解離性運動抑制障害を呈した左手利きの 1 例を経験した。症例は, 40 歳代の男性で, 術前の WADA テストでは言語優位半球は右半球であった。脳室内髄膜腫治療後に, 脳梁および左半球内側前頭前皮質, 補足運動野, 視床, 下頭頂小葉に術後変化を認め, 両手の協調運動障害や右手の失行に伴う右手の随意的コントロールの低下に加えて, 意志に反する右手の使用により, 日常生活に障害をきたした。そこで, 右手一側の上肢機能練習や両手の協調運動練習に加えて, 左手による右手の誘導という動作の工夫, 言語化, リラクゼーション, 視野の外に右手を置くなどの異常運動の抑制方法の獲得を促し, 症状の改善を認めた。脳梁損傷に伴う一側性の失行や解離性運動抑制障害に対するリハビリテーションでは, 上肢機能障害に対する介入に加えて, 健側の機能を用いた行為の再獲得, 運動・行為の抑制障害に対する代償手段の獲得が重要である可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 1348-4818 1880-6554 |
DOI: | 10.2496/hbfr.41.227 |